任意整理の流れと期間をできるだけ短くする方法
「任意整理はどういう手続きなの?」
「任意整理にかかる期間はどれくらい?」
と多くのご相談がありますが、任意整理は裁判所を通さずに、クレジットカード会社や消費者金融といった貸金業者と和解することで、原則として利息をカットして、月々の返済額を無理なく支払える範囲に減らす方法になります。
任意整理の手続きの流れやかかる期間は、借金の返済状況や費用の支払い方法によって変わるので、手続き前に確認しておくべきです。
任意整理の期間と流れ
もくじ(メニュー)
1)任意整理の手続きに必要な期間
任意整理は自分または、司法書士・弁護士に依頼することで手続きすることができます。
ただし、自分で任意整理すると全ての手続きを行う自分でおこなう必要があるので、任意整理の手続きや貸金業者と交渉するための法律の勉強する期間や手間がかかってしまいます。また、個人で手続きすると貸金業者に交渉してもらえない可能性が高いので、任意整理するには司法書士・弁護士に依頼することが多いです。
司法書士や弁護士に任意整理を依頼した時の流れ
1.司法書士や弁護士の事務所に相談
司法書士や弁護士の事務所に相談すると、お金を借りている会社の数や借金の総額、毎月の返済金額、返済している期間、家族構成、住居、職業、収入、収入の中から返済にまわせる金額を聞かれます。
返済状況だけではなくご相談者の要望も伝えることで、任意整理を含めた最適な借金解決する方法、債務整理や実際に借金が減らせる金額、手続きの流れまでくわしく知ることができます。
2.司法書士・弁護士に依頼
司法書士・弁護士と面談をおこなって、相談のときに聞かれたお金を借りている貸金業者の数や借金の総額、毎月の返済金額、返済している期間、収入から返済にあてられる金額に間違いがないかを確認されて、正式な依頼のための任意整理委任契約を事務所と結びます。
任意整理の手続きに必要な物
任意整理の委任契約を結ぶのに必要な物は、運転免許証、保険証、パスポートといった身分証明書(本人が確認できるもの)と認印(シャチハタ以外)です。いつから、いくら借りているか、総額いくらの借金があるのかわからない場合は、明細を持っていくことで確認することができます。
ほかにも任意整理する借金によっては、必要な物がある場合があります。
不動産の登記権利証または登記事項証明書
住宅ローンを任意整理する場合は、不動産の登記権利証または登記識別情報、登記事項証明書が必要になります。
登記権利証または、登記識別情報は、売買や相続などにより新規で土地や建物を取得し、登記を済ませた人に対して、法務局から交付される書類で、2004年までは登記権利証、2004年以降は登記識別情報が送られています。
登記事項証明書はデータ化されて登記記録を全国の法務局のコンピュータで共有しているので、最寄りの法務局の窓口へ行って受け取ることができます。
法務局の開庁時間である平日の午前8時30分から午後5時15分までであれば、備え付けの交付申請書に必要事項を記入して、登記簿謄本1通につき600円の収入印紙を貼って窓口に提出することで証明書を受け取れます。
車検証
自動車ローンを任意整理する場合は、車を購入した時に受け取る車検証が必要になります。
もし車検証を無くしてしまった場合は、普通車は、車につけているナンバーを管理している運輸支局で、軽自動車の場合は、軽自動車検査協会の管轄事務所の窓口で受け取ることができます。
3.取引履歴の開示請求書と受任通知の送付
相談者様から依頼を受けた司法書士・弁護士は、取引履歴の開示請求書と任意整理の依頼を受けたことを通知する受任通知を貸金業者に発送します。
貸金業者に開示請求書を送って取引履歴を取り寄せることで、貸金業者からいつ、何パーセントの金利でいくら借りて、いつ、いくら返済したかわかります。
また、貸金業者に受任通知を送ると貸金業者からの督促が止まります。貸金業法21条1項9号と特別処置法18条8項によって、貸金業者が受任通知を受け取ると、督促をすることを禁止されています。
さらに、貸金業者と任意整理で和解するまでは借金を返済する必要がなくなるので、返済していたお金で司法書士・弁護士に任意整理の費用を支払うことができます。費用を一括で支払えない場合は、事務所によっては分割払いも可能です。
4.借金を減らせる金額を計算
貸金業者から届いた取引履歴で支払っていた利息を確認して、いくら減らせるかを計算します。また、過去に支払っていた利息から払いすぎた利息(過払い金)が発生するかどうかも分かるので、過払い金が発生していればいくらあるか算出します。
もし借金の金額より過払い金の金額が多ければ、任意整理ではなくて過払い金請求の手続きに移ることになります。
5.和解案を送付
過払い金がある場合、過払い金で借金を返済して残った金額、過払い金がない場合、借金の金額をもとに、任意整理後の返済回数や月々の返済額、遅延損害金の割合を決めて、和解案を作成して貸金業者に送ります。
親兄弟・親戚から援助が得られる場合は、借金を一括で返済することもできますが、援助が受けられる見込みがない場合は、借金を分割で返済します。
6.任意整理の和解交渉にかかる期間
和解案をもとに、司法書士・弁護士が代理人として貸金業者と交渉をします。和解交渉で任意整理後の返済回数や月々の返済額、遅延損害金の割合を交渉します。
基本的にご相談いただいてから和解交渉が成立するまでは4か月~6か月程度かかります。
7.和解契約を結ぶ
貸金業者との和解交渉が成立したら、和解契約を締結します。和解契約を締結すれば、「和解した」「和解していない」と争いが起きることを防げます。
8.和解契約に基づき返済
和解契約を締結後は、和解契約書に記載されている支払い開始日、返済額をもとに返済を始めます。
司法書士・弁護士事務所によっては、任意整理した貸金業者への返済をまとめて事務所にすることで、貸金業者への入金を依頼することができますが、任意整理したあと自分で貸金業者に指定された口座に入金するか、依頼するかどちらを選ぶのかによってデメリットとメリットがちがいます。
もし、和解契約書に記載されている返済日より返済が遅れてしまうと、借金を一括請求、さらに遅延損害金も請求される可能性があるので、毎月返済していかなければなりません。
杉山事務所では、最初のヒアリングで相談者様の生活状況や収入、支出、返済状況を丁寧に聞いて、無理のない和解案を立てているのでご安心ください。
任意整理の手続きを始めてから完済するまでの期間
和解契約を結ぶまでの期間
司法書士・弁護士に相談して、任意整理の費用や、手続き内容にご納得いただければ、相談をおこなったその日に委任契約を結ぶことができます。
相談者様の代理人となった司法書士・弁護士が、受任通知と、取引履歴の開示請求書を貸金業者に送ってから、過払い金の金額を算出するまで、1ヶ月程度かかります。
過払い金の金額を算出してから、和解案の作成、和解交渉、和解契約書の締結までは、2カ月程度かかります。
任意整理は、各貸金業者と交渉しなければいけないため、複数の貸金業者の借金を任意整理する場合は、3カ月程度かかります。
和解契約を結ぶまでの期間は任意整理する貸金業者、借金の金額によって異なるので、和解契約を結ぶまでにどれくらいの期間がかかるのか、まずはご相談ください。
借金を完済するまでの期間
3年(36回払い)~5年(60回払い)の返済期間で和解契約を結ぶのが一般的ですが、貸金業者によっては借金の返済期間を5年(60回払い)以上のばせるケースもあります。
ただし、任意整理するまえに借金を返済できている期間が1年未満の借金は、貸金業者に借金を返済できている実績が少ないので、借金の返済期間を2年程度しか伸ばすことができない可能性があります。
また、任意整理などの任意整理などをすると、新たな借り入れやローンの審査が通りづらい期間があるので注意してください。
2) 借金の金額を超える過払い金がある場合の任意整理にかかる期間
任意整理の借金を減らせる金額を計算する中で、借金の金額を超える過払い金があることがわかると、手続きが任意整理ではなくて過払い金請求に変わります。
まずは、取引履歴をもとに、過払い金がいくら発生しているかを引き直し計算して引き直し計算書を作成します。
また、借金の金額を超える過払い金がある場合は、返還してほしいことを伝える過払い金返還請求書を作成します。過払い金返還請求書の内容には決まりがあるわけではありませんが、何年頃から取引があったのか、いくら過払い金が発生していたか、どれくらいの期間で振り込んで欲しいかなどを記載します。
過払い金返還請求書を作成したら、いつ・だれが・どこに送ったかを証明できる内容証明郵便で貸金業者に送ります。
過払い金返還請求書の送ったあとに,貸金業者と交渉します。交渉によって実際に手元に戻ってくる過払い金の金額を決めていきます。過払い金の金額が決まったら、司法書士・弁護士事務所の口座に振り込まれてから、過払い金請求の費用を清算後に過払い金が戻ってきます。
3)任意整理の費用と支払い開始と返済期間
基本的に任意整理の手続き後の返済期間は原則3年~5年で、和解交渉で成立した内容に沿って返済額を毎月支払うことになります。費用のしはらいかいし任意整理後の支払い期間は約3年ですが、相談者様の収入や生活の状況によっては返済の期間延長で5年にすることができます
しかし、返済した借金の金額が少ない場合や借金の返済を延滞した期間が長い場合は、貸金業者は簡単には任意整理に応じてもらえません。任意整理の交渉に時間がかかると手続きが終わるまでの期間は長くなってしまいます。
4) 任意整理は借入の期間や返済状況で期間が変わる
任意整理の費用は、司法書士・弁護士に依頼すると債権者1社あたり2万円~5万円程度、減額できた金額の10%かかりますが、一括で支払うか分割で支払うかによって、手続きにかかる期間が変わります。
多くの司法書士・弁護士事務所では、任意整理の費用の支払われないと貸金業者との交渉を始めないので、費用を分割払いをする回数が多いと任意整理にかかる期間が長くなってしまいます。ただし、裁判を起こされているなど任意整理をする緊急性がある場合は、費用の支払いが終わる前に交渉を始める場合があります。
杉山事務所では、借金問題に関する相談を無料で承っています。相談者様の返済状況などを詳しく教えていただいたうえで、借金を減らす最適な方法をお伝えさせていただきますので、まずは気軽にご相談ください。
5) 裁判を起こされた時の任意整理する流れと期間
任意整理の前に裁判から提訴された場合でも、手続き中に裁判所から提訴された場合にも、任意整理することができます。
司法書士・弁護士に依頼すれば代理となって貸金業者と任意整理の交渉をすることになります。和解するには、1ヶ月~3ヶ月ほどかかります。
6) 任意整理の返済が遅れる前にすべき手続きの流れと期間
任意整理をして支払い開始となったあとに、返済期日に返済を続けることができずに延滞し続けてしまうと、貸金業者から「支払い督促申し立て書」や貸し付けを回収するための「訴状」が届いて裁判を起こされる、給料や財産を差し押さえられるリスクがあります。
裁判を起こされる、給料や財産を差し押さえられるリスクを回避するには、貸金業者と再和解、ほかの貸金業者の任意整理、借金を最大で90%減らす個人再生、借金をゼロにする自己破産をする必要があります。
貸金業者と任意整理で再和解する流れと期間
会社の業績が落ちたなどで収入が少なくなった、病気にかかってしまって必要な出費が増えた場合など特別な事情がある場合、一度、任意整理した貸金業者と再和解ができます。
再和解案を作成してから貸金業者ともう一度交渉して、和解契約を結んでまた返済していくことになります。和解契約の内容によって返済期間は変わりますが、前回の和解より返済する期間が短くなって、毎月の返済額が増えてしまう可能性が高いです。
ほかの貸金業者と任意整理する流れと期間
一度、任意整理をしたときに、車を手放したくない、保証人に迷惑をかけたくないという理由で、手続きの対象から外した貸金業者の借金を任意整理することができます。司法書士・弁護士が貸金業者と交渉して任意整理することになりますので、和解契約までに3ヶ月、借金の返済に3年~5年かかることになります。
個人再生か自己破産をする
貸金業者に返済を続けることができない、任意整理できる貸金業者がない、借金の返済期間を3年〜5年程度にのばしたとしても返済が続けられないと考えられる場合、借金を最大で90%減らす個人再生か、借金をゼロにする自己破産をします。
個人再生や自己破産は自分でやると手間と時間がかかってあきらめてしまう、返済や督促が止まらない、減らせる借金の元本が少なくなる、個人再生・自己破産が認められなくて借金が減らない・借金がゼロにならないリスクがあるので、手続きをする前に司法書士・弁護士に相談するべきです。
任意整理したあと、貸金業者への返済を司法書士・弁護士が代わりにする返済代行を依頼していて辞任されてしまった場合は、相談に応じてもらえないケースがあるので、ほかの司法書士・弁護士にご相談ください。
過払い金請求、債務整理は無料相談をご利用ください。