個人再生とは自宅を残しつつ借金を減らせるメリットの大きい手続き
「個人再生ってどんな手続きなの?」
と多くの方からご相談をいただきます。
個人再生は、借金を大幅に減額して返済を楽にする手続きです。
任意整理とちがって元金が減らせる、自己破産とはちがって家や車を残せるなど、個人再生はメリットが大きい手続きです。
ただし、個人再生には条件があるので、なかには手続きができないケースも存在します。
最適な手続きができるよう、個人再生の内容についてくわしくお伝えします。
個人再生とはもくじ(メニュー)
- 1) 個人再生とは
- 2) 個人再生できる条件とできないケース
- 3) 個人再生のデメリット・メリット
- 4) 個人再生がバレる理由
- 5) 個人再生の注意点
- 6) 個人再生の手続きの流れと期間
- 7) 個人再生にかかる費用相場
- 8) 個人再生後に返済できないときの対処法
- 9) 個人再生で借金問題を解決するには
1) 個人再生とは
民事再生法に基づく法手続きのうち、個人がおこなう手続きが個人再生です。
個人再生は裁判所を通しておこなう手続きで、利息をなくして、さらに大幅に減額した借金(最大で10分の1まで)を3年〜5年に分割して返済することができます。
個人再生では、住宅資金特別条項と呼ばれる制度を利用することで住宅を残したまま借金を減らすことができます。
また、カーローンを完済していれば自動車も残すことが可能です。
個人再生は、手続きをするとブラックリストに載ってしまうデメリットがありますが、現実的な返済プランを組むことができるので大きなメリットが得られる手続きです。
個人再生の種類
個人再生には、小規模個人再生と給与所得者等再生の2種類がありますが、ほとんどのケースで小規模個人再生がおこなわれています。
小規模個人再生
小規模個人再生は、継続的な収入を得られる見込みがある方向けの手続きです。
裁判所に小規模個人再生を申し立てたあと、手続きを進めていくと、貸金業者による書面決議がおこなわれます。
決議にて、貸金業者の過半数、あるいは債権総額の2分の1を超える不同意を得てしまった場合は、個人再生が失敗(個人再生手続きの廃止)となります。
もともとは小規模な個人事業主を想定した手続きですが、給与所得者等再生より返済額が少なくなりやすいので、給与所得者でも小規模個人再生を選ぶケースが多いです。
給与所得者等再生
給与所得者等再生は、サラリーマン・アルバイト・パートなど、給料を貰っている人を中心とした手続きです。
給与所得者等再生では貸金業者に対する意見聴取がおこなわれるので、書面決議をせずに手続き可能ですが、返済額が多くなりやすいので、ほとんどの場合で小規模個人再生が選ばれています。
住宅資金特別条項とは
住宅資金特別条項(住宅ローン特則)とは、住宅ローンの返済を続けて自宅を処分されないようにしつつ、住宅ローン以外の借金を個人再生で減額する制度です。
住宅資金特別条項を利用するにはさまざまな条件がありますが、一般的な住宅ローンであれば適用できますので、住宅を残しつつ借金を減額したい方は、住宅資金特別条項を使って個人再生をします。
個人再生で借金がどこまで減るか
個人再生では、借金を最大で10分の1にまで減額できますが、借金の総額によって、最低限返済しなければいけない額(最低弁済額)が変わります。
借金の総額 | 最低弁済額 |
---|---|
100万円未満 | 全額 |
100万円以上500万円以下 | 100万円 |
500万円を超え1500万円以下 | 借金総額の5分の1 |
1500万円を超え3000万円以下 | 300万円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 総額の10分の1 |
例えば、借金総額150万円と450万円の場合、どちらも最低弁済額が100万円ですが、総額150万円の場合は最大で50万円の減額に対して、総額450万円の場合は最大で350万円の減額となります。
最低弁済額が同じ額でも減少額が異なるケースはあるのです。
また、清算価値保障の原則や、可処分所得要件を踏まえて弁済額を決定するケースもあり、実際の減少額は状況によって異なります。
清算価値保障の原則とは、個人再生を申し立てた人が仮に自己破産で財産を処分した場合に債権者へ配当される金額より、再生計画の弁済総額の方が多くなければならないとする原則です。
可処分所得要件とは、弁済総額は、可処分所得(手取りから生活に必要な費用を差し引いた額)の2年分以上にしなければならないという、給与所得者等再生における必要な条件です。
個人再生が向いている人
減額さえできれば返済が継続できる方
借金が大幅に減れば月々の返済負担を軽くできます。
負担が軽くなって、残りの借金をが3~5年で完済できるなら個人再生が向いています。
任意整理では借金の返済が楽にならない方
任意整理では、利息は免除されますが、借金そのものは減らせません。
利息の免除だけだと借金が楽にならない場合は個人再生をおこないます。
借金額が多いが住宅ローンのある自宅を残したい方
住宅資金特別条項を利用すれば住宅ローンを除外して借金を大幅に減額できるので、借金が多くても家を残したまま現実的な返済プランを立てられます。
銀行や奨学金など金利が低い借り入れをしている方
金利が低い場合に任意整理をしても利息をカットするだけであって、返済負担があまり軽くならないことがほとんどなので個人再生が向いています。
個人再生と任意整理のちがい
個人再生と任意整理のちがいは主に5つあります。
手続き方法
任意整理は、貸金業者と直接交渉するのに対して、個人再生は裁判所に再生計画を提出して認めてもらいます。
借金を減らせるかどうか
任意整理では利息のカットはできますが、元金そのものを減らすことはできません。
一方、個人再生では、利息のカットと借金の減額が可能です。
手続きする借金を選べるかどうか
任意整理では手続きする借金を選ぶことができますが、個人再生では住宅ローン以外のすべての借金が手続きの対象です。
個人再生では、連帯保証人がいる借金も手続き対象なので、結果的に保証人へ影響が出てしまうケースもあります。
予納金があるかどうか
任意整理は裁判所を通さない手続きなので、予納金がありません。
しかし、個人再生は、裁判所に予納金というお金を納める必要があるので費用負担が大きくなります。
官報への掲載があるかどうか
任意整理では官報に掲載されることはありませんが、個人再生は、手続きをすると官報に住所・氏名が掲載されます。
ただし、官報はほとんどの人が目を通すことのない特殊な公告ですので、官報が原因で周囲に個人再生のことを知られるという心配はありません。
個人再生と自己破産のちがい
個人再生も自己破産も裁判所に申請する手続きですが、借金を減らせる金額が異なります。
自己破産は借金ゼロにできますが、個人再生でなくなるのは一部分のみです。
収入によっても選べる手続きが異なります。
収入がない場合は自己破産しかできませんが、収入がある場合は個人再生も選択肢となります。
また、自己破産では免責不許可事由に該当していた場合、裁判所が管財事件として調査が必要と判断しなければ手続きができない、職種によっては手続き期間中は休職となるなどの理由から、誰でもできるわけではありません。
対して、個人再生はどなたでもおこなうことができます。
2) 個人再生できる条件とできないケース
裁判所に個人再生を認めてもらうには条件を満たす必要があります。
ただし、条件を満たしていても個人再生ができないケースがあり、手続きができるか個人で判断するのはむずかしいため、司法書士・弁護士に依頼して進めてもらうのが一般的です。
個人再生できる条件
個人再生を裁判所に認めてもらうには3つの条件があります。
1つ目が、個人の借金であることです。
法人の借金だと民事再生になってしまうので、個人再生の手続きができません。
2つ目が、借金額が住宅ローンをのぞいて5000万円未満であることです。
住宅ローンをのぞいても5000万円以上の借金がある場合は、民事再生をおこなうことはできますが、費用がかかりすぎるため自己破産をおこなうことが一般的です。
3つ目が、返済を継続できると裁判所が認めるだけの収入があることです。
収入がない場合は借金を減額できても返済を続けることがむずかしいため、自己破産をすることになります。
個人再生できないケース
個人再生を申し立てを棄却されるようなケース
例えば、借金が5000万円を超えている場合や、裁判所に納める予納金が準備できない場合、安定した収入がなくて減額しても返済が継続できないと考えられる場合は、個人再生を申し立てても棄却されてしまうことがあります。
貸金業者の反対が過半数を越えるケース
貸金業者の過半数が不同意であるか、債権総額の2分の1を超える不同意を得ている場合、小規模個人再生ができません。
再生計画が不認可になるケース
個人再生では、減額した借金をどう返済するか明らかにした再生計画を提出します。
再生計画の弁済額が、仮に自己破産の際に手元に残しておける財産以外をすべて処分した場合に得られる金額(清算価値)よりも低い場合、債権者の利益に反することになってしまうため不認可になります。
再生計画通りの返済を怠ったケース
裁判所に認可された再生計画通りに返済ができなかった場合、個人再生が取り消されて減額前の借金を返済しなければならなくなります。
個人再生ができないケースはあるものの、借金問題の実績が豊富な司法書士・弁護士に依頼すれば、事前に手続きが可能かどうか判断してもらえるため、手続きを始めてから個人再生はできなかったということはほとんどありません。
3) 個人再生のデメリット・メリット
個人再生は借金が大きく減るというメリットがありますが、一方で、任意整理よりも費用がかかる、リスクが大きいなどのデメリットがあることもしっかり理解したうえで手続きする必要があります。
>個人再生のメリット・デメリットを知りたいなら >個人再生のデメリットと住宅・車を残して借金を減らせるメリット個人再生のデメリット
時間と手間がかかる
個人再生は、民事再生法に則ったむずかしい手続きなので、法的な知識のない方が自分で手続きを進めようとすると非常に時間がかかります。
また、必要な書類を集めたり、提出する書類を作成したりするだけでも、かなりの手間と時間が必要です。
費用が高い
個人再生は裁判所に支払うお金が発生するので費用が高くなりやすいです。
裁判所に支払うお金として、数万円程度の予納金必要です。
加えて、裁判所から個人再生委員が選出された場合は、15万~25万円ほどの予納金を追加で払わなければなりません。
さらに個人の手続きは司法書士・弁護士に依頼するのが一般的なので、別途で依頼費用も必要です。
ブラックリストに登録される
個人再生をすると、信用情報機関に事故情報が登録されます。
信用情報機関は、借金をした人の契約状況、取引状況を管理している機関で、事故情報とは、債務整理や延滞の情報を指します。
信用情報機関に事故情報が登録されると、いわゆるブラックリストに登録される状態となります。
信用情報機関の情報はクレジットカードの発行やローンの審査に使われるので、ブラックリストに登録されると、新規のローンやクレジットカードの発行などに影響が出てしまいます。
官報に掲載される
官報とは国が発行している機関紙で、個人再生をおこなうと住所・氏名が官報に掲載されてしまいます。
ただし、官報を読んでいる一般の方はほとんどいないので、基本的に官報が原因で周囲の人に借金や個人再生のことを知られてしまう可能性は低いです。
保証人に影響が出る
保証人がいる借金を個人再生をした場合、保証人は一括請求されます。
保証人が債権者と話し合って、一括返済をするか、毎月決められた額を返済する約定返済することになって、最終的には、個人再生後に支払った金額と保証人が支払った金額の合計が債務額に達すると完済になります。
個人再生のメリット
住宅を残せる
住宅資金特別条項を利用すれば、ローン返済中の住宅を残しておくことができます。
自己破産の場合はローンが残っていると処分されてしまうため、住宅を残しておくために個人再生手続きを選ぶ方もいます。
自動車を残せる
自己破産では自動車は処分対象ですが、個人再生ではローンの返済を終えていた場合は自動車を手元に残せます。
ただし、ローンの返済が終わっていない場合は、個人再生でも自動車を残しておくことはむずかしいです。
返済が止まる
司法書士・弁護士に個人再生の手続きを依頼すると、貸金業者に対して受任通知が送られます。
受任通知には法的な効力があって送付した時点で督促や返済がストップします。
借金が大幅に減る
個人再生には最低弁済額があるので際限なく借金を減額できるわけではありませんが、最大で借金を10分の1にまで減らせます。
減額によって現実的な返済プランを立てられるので、返済を無理なく続けられます。
4) 個人再生が周囲にバレる理由
個人再生をしたからといって、周囲にバレる恐れはほとんどありませんが、状況次第では家族や友人、勤務先などに知られてしまう可能性はあります。
周囲に知られやすいケース
家族が保証人になっているケース
個人再生をすると、保証人に請求がいくため、家族が保証人になっている場合、請求がきたことで借金のことがバレてしまいます。
家族に収入があるケース
個人再生では、同居している家族の給与明細や源泉徴収票、市県民税課税証明書の写しなどの収入証明の書類も必要です。
収入証明の書類を集めている段階で家族に知られてしまうケースもあります。
会社から借金があるケース
個人再生ではすべての債権者に通知がいくため、会社から借金をしている場合は会社にも通知が届いてしまって個人再生のことが知られてしまいます。
官報を見られるケース
官報は一般の人が目にすることはほとんどありませんが、区役所の税務担当者や金融機関で働いている人などは読んでいる場合があります。
区役所の税務担当者や金融機関で働いている人が周囲にいる場合、官報を通じてバレてしまうケースもありえます。
周囲に知られにくいケース
保証人がいないケース
保証人がいない場合は、そもそも請求が第三者にいかないので、個人再生のことを知られる可能性がありません。
同居家族に収入がない場合
同居家族に収入がない場合は、家族の収入に関する書類が必要ありません。
裁判所からの郵便物を見られる、手続きの書類を見られるなどがなければ、知られる可能性は低いです。
5) 個人再生の注意点
すべての債権者が対象になる
任意整理では手続きする借金を選ぶことができますが、個人再生では基本的にすべての借金が対象となるので特定の借金を外して手続きすることはできません。
支払いを免除されるのは一部だけ
個人再生は借金を大幅に減額して残った分を返済する手続きなので、返済が免除されるのは一部だけです。
ただ、借金を全部なくすことはできなくても、大幅にカットすることはできるため、手続き前に比べれば返済はだいぶ楽になります。
罰金や税金などはそのまま残る
個人再生は借金を減額することはできますが、罰金・税金・保険料・養育費などは減額・免除できません。
裁判所に認められないことがある
申し立てを棄却される、再生計画が不認可になるなど裁判所に認められない場合は、個人再生はできません。
個人再生ができる条件を満たしている限り、現実的には司法書士・弁護士を通せばほとんどの場合で認められます。
住宅を残せない場合もある
住宅の所有権がない、住宅に住宅ローン以外の担保がついているなど、住宅資金特別条項を利用する際の要件を満たしていない場合は住宅を残すことはできません。
返済金額が多くなることがある
個人再生には清算価値保障の原則があり、高額な財産を所有している場合は清算価値が高くなるため、結果的に総返済額が高くなるケースがあります。
清算価値とは、自己破産の際に手元に残しておける財産以外をすべて処分した場合に得られる金額を指します。
退職金が財産にカウントされる
個人再生の申し立てをした時点で退職金は申立人の財産に含まれて、清算価値に計上されます。
しかし、退職しているか、退職を控えているか、まだ退職しないかによって、どの程度財産にカウントするかが変わります。
すでに退職して退職金を受け取っている場合は全額、退職を控えている場合や退職金をまだ受け取っていない場合は4分の1が財産にカウントされます。
まだ退職しない場合は、仮に現在退職した場合いくらもらえるのかを計算して、そのうちの8分の1を財産とする裁判所が多いです。
退職金のどの程度が財産にカウントされるかで清算価値が変わるのにともなって、返済額も大きく変わることがあります。
6) 個人再生の手続きの流れと期間、必要書類
個人再生をする場合の手続きの流れと要する期間、必要になる書類について説明します。
個人再生手続きの流れと必要期間
司法書士・弁護士に相談
まずは、司法書士・弁護士に相談して最適な債務整理の手段を決めます。
受任通知送付・債権調査
司法書士・弁護士に依頼すると、債権者に宛てて受任通知が送られます。
受任通知とは、司法書士・弁護士が代理人となって債務整理の手続きを進めることを貸金業者に知らせる通知です。
受任通知を送付後、司法書士・弁護士は、貸金業者から取引履歴を請求して、2週間~2ヶ月程度かけて借金の総額と過去の借金を調べます。
調査の結果、過払い金があった場合は過払い金請求して借金を減額したり、現在の借金と相殺します。
必要書類の準備
財産目録や家計収支表、住民票など個人再生に必要な書類を用意します。
すぐには準備できない書類もあるので、必要な書類をすべて準備するには、およそ1ヶ月~3ヶ月程度かかります。
裁判所に申立
書類の準備が完了したら、地方裁判所に個人再生の申し立てをします。
個人再生の手続きが開始するまでは1ヶ月程度待つことになります。
個人再生委員の選出・履行テスト
代理人を立てずに個人再生を申し立てた場合は、裁判所が選任した個人再生委員を付けることになります。
個人再生委員とは、スムーズに個人再生ができるよう裁判所が選任した委員です。
主に、借金や財産、収入を調査する、再生計画案の作成に関して指示を出すなどの業務をおこないます。
裁判所によっては申し立てのあとに履行テストをおこなうケースがあります。
履行テストとは、返済能力を確認するためのテストで、個人再生の返済額と同じ金額を6ヶ月支払います。
再生計画案提出
再生計画案とは、借金を減額したあと、どのように返済をするかを記載した書面です。
申し立ての3ヶ月~4ヶ月後までに提出する必要があります。
再生計画認可決定
小規模個人再生の場合には再生計画案提出後、貸金業者への決議で同意が得られれば再生計画が認可されて、個人再生が決定します。
手続きによって借金が減額されたあとは、提出した再生計画案にしたがって毎月返済を続けていくことになります。
個人再生の申し立てから認可決定までは6ヶ月~12ヶ月程度かかります。
個人再生の必要書類
必要な書類は次の通りです。
- 再生手続開始申立書
- 陳述書
- 収入一覧
- 主要財産一覧
- 債権者一覧表
- 財産目録
- 家計収支表
- 委任状
- 戸籍謄本
- 住民票
- 源泉徴収票
- 給与明細書
- 確定申告書
- 課税証明書
- 預貯金通帳のコピー
- 保険証券/解約返戻金額証明書
- 退職金額証明書
- 不動産登記簿謄本
- 固定資産評価額証明書
- 不動産の査定書
- 賃貸借契約書
- 車検証
- 自動車の査定書
- 住宅ローンの契約書
- 差押決定正本
- 可処分所得額計算シート(給与所得者等再生の場合)
- 清算価値算出シート
準備するものは多いですが、司法書士・弁護士に相談することで、必要な書類のアドバイスやサポートをしてもらえます。
個人再生でやってはいけないこと
個人再生ではいくつかやってはいけないことがあります。
例えば、財産を隠すことや申し立ての直前になって財産を移すことをやってはいけません。
また、一部の債権者を除外する、あるいは手続き前に特定の債権者だけを返済する、申し立てのあとに新規で借金をすることも控えてください。
不正行為や不誠実な行為にあたるため、個人再生を認めてもらえなくなってしまいます。
他にも、期日までに再生計画を出さない、履行テストをおこなわないなども、不正行為や不誠実な行為にあたります。
7) 個人再生にかかる費用相場
個人再生の費用の相場は、計50万~60万円程度で、具体的には、裁判所へ支払う費用と司法書士・弁護士へ支払う費用の大きく分けて2種類があります。
個人再生の費用では、裁判所に支払う費用・司法書士や弁護士の報酬・裁判所に選出された個人再生委員への報酬がかかります。
裁判所に支払う費用
印紙代・官報掲載費用・切手代 |
---|
3万円程度 |
司法書士・弁護士への報酬
弁護士報酬 | 司法書士報酬 |
---|---|
30万円~60万円 | 20万円~30万円 |
住宅を残す場合は、いずれの場合も5万円~10万円ほど報酬が高くなります。
個人再生委員への報酬
個人再生委員への報酬 |
---|
15万~25万円程度 |
再生委員への報酬は、履行テストの際に支払ったお金から支払われて、履行テストの余剰分は返還されます。
履行テストのお金は無駄にはならないので、余計な費用を負担することにはなりません。
8) 個人再生後に返済できないときの対処法
個人再生をすると借金が大幅に減るので返済が楽になりますが、なかには個人再生をしても返済がむずかしくなってしまうケースがあります。
個人再生をしても返済がむずかしくなってしまった場合はしかるべき対処が必要です。
個人再生計画の変更を裁判所に申立てる
裁判所に認可された再生計画を続けるのがむずかしい場合は、再生計画の修正を裁判所に申し立てます。
個人再生計画の変更が裁判所に認めれられれば、支払い条件を緩和することが可能です。
ハードシップ免責を裁判所に申し立てる
ハードシップ免責とは、個人再生が認められたあとで再生計画どおりに返済ができなくなった場合、一定以上の返済が終わっていれば残っている借金の免責を認めることです。
例えば、病気・怪我によって長期間入院しなければならないケースや、個人再生の認可後突然リストラされてしまい再就職先を探したものの、景気や年齢が理由でなかなか見つからないケースなど、再生計画どおりに返済ができなくなった理由が本人以外にある場合に認められます。
ただし、ハードシップ免責が認められる条件は厳しいため、実際にはほとんどできません。
自己破産する
個人再生でも返済がむずかしい場合は自己破産をします。
自己破産は悪い面が強調されることが多くて、嫌なイメージを持っている方もいますが、人生をやり直すには決して悪い選択ではありません。
自己破産をすれば、借金をゼロにして生活を立て直すことができます。
9) 個人再生で借金問題を解決するには
個人再生は、住宅を残したまま、借金を最大で10分の1にまで減らせるメリットが大きい手続きです。
ただ、ご自身だけで手続きを進めるのはとてもむずかしいので、個人再生を検討している方、借金問題で悩んでいる方はお一人で悩まず、まずは司法書士・弁護士にご相談ください。
司法書士法人杉山事務所では、無料相談をおこなっています。
無料相談にてご状況をしっかりお伺いして、ひとりひとりにあった手続きをお伝えしていますので、まずはお気軽にご相談ください。
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