自己破産後にクレジットカードが使えなくなる理由と新規で作る方法
「自己破産後はカードを使えなくなる?」 と多くの方からご相談をいただきます。
自己破産をすると一定期間はクレジットカードを作れませんが、ブラックリストの状態が一生続くわけではなくて、ブラックリストの期間中に便利に生活するための工夫もできます。
自己破産後にクレジットカードが使えなくなる具体的な期間や使えない期間の後に新規で発行する方法をお伝えします。
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自己破産後にクレジットカードが使えなくなる理由
自己破産をするといわゆるブラックリストに載った状態になります。
結果として、新規のクレジットカード発行はできなくなるのはもちろん、破産の対象にしなかったカードもいずれは解約されてしまいます。
ブラックリストに載るとどうなるか
自己破産するとブラックリストに載るといわれますが、具体的にどういった仕組みになっているのかお伝えします。
ブラックリストとは、信用情報機関に延滞や債務整理などの事故情報が登録されることをいうのであって、ブラックリストという名簿が存在するわけではありません。
カード会社や信販会社はカード発行の申し込みを受けると信用情報機関へ情報照会をおこなって、審査にかけます。
信用情報機関に事故情報が登録されていると返済できないリスクが高いと判定されて、カードが発行できないという仕組みです。
信用情報機関とは
信用情報機関は、個人のローンやクレジットカードの支払いに関する情報を一元管理している特殊な組織で、JICC、CIC、KSCの3つが存在しています。
消費者金融、カード会社、信販会社、銀行、信用金庫などの機関は借金やカードの申し込みを受けると、3つの信用情報機関のうち1つ以上へ情報照会します。
日本信用情報機構(JICC)
株式会社日本信用情報機構は、主に消費者金融が加盟している信用情報機関で、クレジットカード会社や銀行が加盟している場合もあります。
シーアイシー(CIC)
株式会社シー・アイ・シーは、主に信販会社やクレジットカード会社が加盟している信用情報機関で、消費者金融や銀行が加盟しているケースもあります。
全国銀行個人信用情報センター(KSC)
全国銀行個人信用情報センター(KSC)は全国銀行協会が運営している信用情報機関で、銀行や信用金庫、労働金庫や公庫などの金融機関が加盟しています。
自己破産後にクレジットカードが作れるのは5~10年後
自己破産すると個人信用情報に官報公告情報などの事故情報が登録されてしまってブラックリストに載ってしまいますが、一生登録され続けるわけではありません。
信用情報機関によっても運用はまちまちですが、自己破産後およそ5年~10年で事故情報は抹消されて、再度クレジットカードの審査に通る状態に戻れます。
JICCやCICでは約5年、KSCでは約10年間事故情報が残る運用となっています。
ただし事故情報が消えたからといって必ず審査にとおるとは限らなくて、申し込み時における収入や勤務先情報、年齢や借入残高などの事情により、とおらない可能性もあります。
自己破産後のクレジットカードへの影響
自己破産をすると、それまで持っていたクレジットカードは解約されます。
具体的にいつの時点で解約されるかというと、司法書士・弁護士に自己破産を依頼すると、受任通知がカード会社へ届いた時点でブラックリストに載ります。
自分で自己破産を申し立てる場合には、業者への支払いをストップしたり裁判所が破産申立を受理して債権者宛に通知が送られたりしたタイミングで事故情報が登録されるケースが多数となっています。
契約中のクレジットカードはすべて解約になる
自己破産すると、契約中のクレジットカードが解約されるため、生活にさまざまな影響が及ぶ可能性があります。
貯まっていたポイントは失効
クレジットカードが解約されると、貯まっていたポイントはすべて失われて使えなくなるため、破産前にポイントを消費しておくのが得策です。
カード購入品が引きあげられることがある
クレジットカードの分割払いで購入したものは、カードが強制解約されると引きあげられる可能性があります。
ただしすべて引き上げられるとは限らなくて、契約内容によって対応が異なるので、破産申立前に確認しておくべきです。
公共料金などの支払い方法に注意
電気、水道、ガスなどの公共料金をカード払いにしている場合、解約されると支払いができなくなってしまいます。
水道光熱費を払わないまま放置していると最終的にライフラインを止められてしまうので、早めにコンビニや郵便局などで支払うか、事前に口座引落などへ支払い方法を変えておくべきです。
スマホ代や通信料金、動画視聴のサブスクリプション、NHK料金などの支払方法をカードにしている場合にも解約によって払えなくなってしまうので、破産前にカードで引き落とされている料金がないか、確認しておく必要があります。
ETCカードも使えなくなる
クレジットカードに付帯するETCカードを利用している場合、カードが解約されるとETCカードも使えなくなります。
ただし、あとで紹介するETCパーソナルカードというカードを使えば、一般のETCカードと同様に使えるので、頻繁に高速道路に乗る方はETCパーソナルカードを契約するのが得策です。
付帯する家族カードも使えなくなる
破産者が本会員となっているカードで家族カードを発行している場合、本カードと同時に家族カードも使えなくなってしまいます。
ただし家族が本会員となっている場合に破産者が使わせてもらっている家族カードには影響しないので、そのまま使えます。
クレジットカードが解約されるかどうかは本会員が誰かによって決まるもので、本会員が破産したら家族カードも使えなくなって、本会員が破産しなければ本カードも家族カードも有効なままです。
契約中の使ってないカードも解約になる
まったく使っておらず残高がないため破産の対象にならなかったクレジットカードも、破産後しばらくすると自動的に解約されて使えなくなります。
カード会社はカード更新の際や他の任意のタイミングで、個人信用情報を照会して状況確認をおこなっているからです。
自己破産する際のカードに関する注意点
カードの利用状況は司法書士・弁護士に正直に話す
自己破産するときには、自分の持っているカードの種類やカード会社名、利用状況について、もれなく司法書士・弁護士に話すべきです。
申告もれがあると、裁判所から「債務を隠しているのではないか?」と疑われるリスクが発生して、最悪の場合、破産手続きに失敗する可能性があります。
現在まったく使っていないカードや、1つのカード会社で複数のカードを持っている場合などには忘れてしまいやすいので、特に注意して申告してください。
特定のクレジットカードのみ完済してはいけない
自己破産するときには、すべての債務を平等に扱わねばなりませんので、特定のクレジットカードの債務だけを完済するのは禁止されます。
たとえば分割払いやリボ払いで購入した物品があって「回収されたくないからこのカードの残債だけは優先的に払いたい」と考えても、一括払いしてはなりません。
解約の直前にカードを利用してはいけない
自己破産をするとクレジットカードが解約されるので、ときどき「自己破産前の使えるうちに、最後にまとめて使ってしまおう」と考えたり、ショッピング枠の現金化をしたりする人がいます。
しかし自己破産前にカードをまとめて使ったり現金化したりすると、破産手続きにおいて大きな障害となる可能性があるのでやってはいけません。
ショッピング枠の現金化や、支払う意思も能力もないのに相手をだまして借り入れをする行為は免責不許可事由に該当してしまうからです。
免責不許可事由があるとそのまま全額が残ってしまってせっかく自己破産しても意味がなくなる可能性があります。
自己破産後にクレジットカードを作る方法
確かに自己破産すると、いわゆるブラックリストに載ってしまってカードを発行してもらえなくなりますが、ブラックリストの原因となる事故情報は5年~10年程度が経過すると抹消されて、クレジットカードを再度作ることができる状態になります。
自己破産後にクレジットカード再審査を受ける時の注意点
ブラックリストが抹消されたからといって、必ず審査に通るわけではなくて、カード会社所定の審査基準を満たさねばなりません。
自己破産後の新規カードの申し込みでは、特に注意しなければならない点もいくつかあるのでお伝えします。
信用情報を確認してから申し込む
カード申し込み前に、個人信用情報から事故情報が消えているかどうかを確認すべきです。
事故情報が残ったままの状態でクレジットカードを申し込んでもほぼ確実に審査に落とされてしまうので、意味がないからです。
本人からの請求があれば、JICCもCICもKSCも情報開示に応じています。
すべての信用情報機関において郵送での申請が可能で、JICCの場合は窓口やアプリからの申請、CICでは窓口申請やウェブ上の確認も受け付けています。
個人信用情報の確認は有料で、JICCやCICの窓口申請なら500円、郵送やアプリ、ウェブ確認の方法の場合には1,000円かかります。
なお自己破産後10年を大きく過ぎているのに事故情報が残っている場合、何らかの手違いが起きている可能性もあるので、信用情報機関へ事情を問い合わせてみてください。
カード会社を選んでから申し込む
自己破産後に新規でカードを申し込むときには、カード会社の選定が非常に重要なポイントとなります。
自己破産の対象にしたカード会社はNG
自己破産の際に残債免除の対象にしたクレジットカード会社やグループ会社のカードは避けるべきです。
カード会社は信用情報機関のブラックリストとは別に、独自の社内ブラックとよばれるリストを作っているケースが多々あります。
社内ブラックには、過去に長期延滞したり債務整理したりして迷惑をかけられた人の情報が掲載されていて、要注意人物として審査に通さない扱いにしているのです。
自己破産の対象としたカード会社では社内ブラックの影響で審査に通らない可能性が高いので、別のカード会社を選んで申し込むべきといえます。
KSCに加盟していないカード会社を選ぶ
自己破産のブラックリスト情報の保有期間はKSCの場合は10年、JICCやCICの場合は5年と信用情報機関によって異なっています。
KSCの加盟機関にカードを申し込む場合には自己破産後10年経たないと難しくなる可能性がありますが、KSCに加盟していないカード会社であれば自己破産後5年でカードが持てる可能性が高くなります。
自己破産後、早めにカードを発行したいならKSCに加盟していないカードを選ぶべきです。
KSCに加盟しているのは銀行や信用金庫などの金融機関なので、銀行系以外の独立系カード会社であれば早めにカード発行を受けられる可能性があります。
一度に複数の会社のクレジットカードを申し込まない
破産後にクレジットカードを持ちたいなら、一度に何社ものカードを申し込んではなりません。
個人信用情報には、カードの申込情報も登録されるため、一度に複数のカード会社へ申し込むと、個人信用情報を照会されたときに不審に思われて、審査に落とされるリスクが高まります。
再度の申し込みは半年後まで待つ
個人信用情報には、審査に落ちた情報も6ヶ月間残るため、続けて別のカード会社へ申し込むと、審査落ちの履歴をみられて警戒されるおそれがあります。
もしも1社目のカード会社で審査がとおらなければ、2社目の申込みまでには6ヶ月以上空けるべきです。
利用限度額は最小限にする
クレジットカードの申込時、ショッピングやキャッシング利用限度額を指定する項目がもうけられているケースがあります。
いきなり利用限度額を大きくしても審査に通らない可能性が高いので、初めの1枚はショッピング利用枠のみとして限度額を最小限にするのが得策で、キャッシング利用枠は0円にするのが望ましいです。
クレジットヒストリーを積んでから申し込む
クレジットカードの発行を目指すとき「クレジットヒストリー」についての知識が重要です。
クレジットヒストリーとは、クレジットカードやローンをこれまでに利用してきた履歴をいいます。
個人信用情報には、これまでに発行利用したクレジットカードやローンに関する情報が蓄積されていて、通常の人であれば年齢に応じてそれなりのクレジットヒストリーがあるものです。
ところが自己破産後のブラックリストに載っている間は借金もローンも組めないため、自己破産のブラックリスト明けの人のクレジットヒストリーは白紙の状態です。
ローンやクレジットカードを使ったことのない人や、債務整理後事故情報が消えてまっさらになった人など、クレジットヒストリーもまったくない状態を、俗に「スーパーホワイト」と呼んでいます。
ある程度の年齢になっているのに個人信用情報がスーパーホワイトになっていると、カード会社が「この人は過去に何らかの問題をおこしたのではないか?」と警戒するケースも少なくありません。
30代以上の方の場合、カード発行を申請する前にスマホ端末の分割購入や少額のショッピングの分割払いなどをおこなって支払い実績を積み重ねてクレジットヒストリーを積んでおくと、スーパーホワイト対策になります。
自己破産後でも通りやすいクレジットカード
ひとことでクレジットカード会社といっても非常にたくさん存在していて、審査に通りやすいものと厳しいものがあるので、自己破産後はじめて作るならできる限り審査にとおりやすいものを選ぶべきです。
銀行系カード
一般的に、銀行系のクレジットカードは審査が厳しいといわれていて、KSCを参照されるためブラックリスト期間が長くなる問題もあるので、初めの1枚としてはおすすめではありません。
信販系カード
いわゆるカード会社が発行する信販系カードには、審査がゆるいものも少し厳し目のものもあります。
流通系カード
大型ショッピングモールや通販サイトが発行するような流通系カードは比較的審査にとおりやすいといわれています。
消費者金融系カード
消費者金融が発行するクレジットカードは、審査にとおりやすいカードです。
社内ブラック対策のため、審査に通りやすい種類の中でも今まで取引したことのないカード会社を選んで申し込むと、カード発行を受けやすくなります。
カードがどうしても必要な場合の対処法
自己破産をすると、どうしてもクレジットカードが解約されて、手元に残す方法はありません。
カードがないと生活に支障が出そうに思いますが、意外と便利に利用できる代替手段があるのでお伝えします。
家族カードを使う
自己破産によってカードを発行できなくなるのは、破産した本人だけです。
家族の個人信用情報には影響しないので家族はクレジットカードを発行できて、家族カードの利用できます。
破産者が家族カードを使っても問題はありませんので、配偶者や親などの家族がいる方は家族カードを使わせてもらうと便利です。
デビットカードを利用する
独身の方や家族に頼りたくない方の場合、デビットカードを利用すると便利に生活できます。
デビットカードとは、利用した瞬間に銀行口座から利用額が即時に引き落とされるタイプのカードです。
金融機関が積極的に発行しており、最近ではキャッシュカードとデビットカードが一体型になったカードもよくみられます。
クレジットカードと同様にネットショッピングや全国のコンビニ、スーパー、量販店、デパートなどの場所で利用できるので、デビットカードが1枚あれば現金を持ち歩く必要はありません。
利用と同時に残高から引き落とされるため、残高不足では利用できず利用者の信用力が問題になりません。
発行の際に信用情報の照会がおこなわれないので、ブラックリスト状態の人も発行してもらえます。
なおデビットカードにも各行所定の審査があり、個人信用情報のブラックリスト以外の要因で落とされる可能性があります。
もしも発行を拒否されたら別の銀行へ申し込むと審査に通る可能性があるので、あきらめる必要はありません。
一般的に、ふだん給与振込口座や各種引き落としなどで頻繁に利用している銀行であれば、審査にとおりやすいといえます。
プリペイドカードや電子マネーを利用する
プリペイドカードは、事前に電子マネーを入金しておくタイプのカードで、電子マネー決済に対応しているコンビニや各種の店舗で利用できます。
たとえばSUICAやPASMO、Edyなどの電子マネーをカードに入金して持ち歩けば、現金を用意する必要はありません。
マスターなどのブランドのついたプリペイドカードであれば、ブランドの取り扱いのある店舗やネットショッピングでも使えます。
プリペイドカードや電子マネーは、後払いではないので個人信用情報が問題にならず、自己破産後のブラックリスト状態でも問題なく利用できます。
スマホ決済を利用する
PayPayやd払い、au PAYなどのスマートフォンを利用した決済方法も、信用情報とは無関係に利用できます。
ただしスマホ決済には、事前入金型とクレジットカード連携型の2種類の支払い方法があって、クレジットカードがない場合にはクレジットカード連携型の支払い方法を利用できないので注意すべきです。
自己破産後のブラックリスト状態の場合、各種の決済サービスへ事前に入金しておけば問題なく使えます。
ETCパーソナルカードを使う
自己破産をすると、クレジットカードに付帯していたETCカードも解約されて使えなくなってしまうので、ふだんから高速道路を頻繁に利用する方にとっては不便です。
ブラックリスト状態でも使えるETCカードとして、ETCパーソナルカードがあります。
ETCパーソナルカードとは、首都高速やNEXCO東日本、NEXCO西日本などの高速道路6社が連携して、クレジットカード会社を通さずに直接発行しているETCカードです。
クレジットカード会社を介さないため、ブラックリスト状態であっても発行してもらえます。
一般のETCカードと同様に高速道路の利用料金は1ヶ月単位の後払いになるので、高速道路に乗るたびに現金で払う必要はありません。
ただし当初のカード発行時にデポジットという保証金が必要となり、最低でも2万円は預けなければなりません。
月に利用できる高速道路の料金は、デポジット額の80%で、超過するとカードを一時的に止められてしまうため、利用する頻度や料金に応じて余裕をもってデポジット額を設定する必要があります。
自己破産時のクレジットカードについては司法書士に相談
自己破産するとクレジットカードは強制解約されて、新規の発行も5~10年程度は受け付けてもらえなくなります。
確かに生活に影響が出る可能性がありますが、便利に暮らすための方法もあって、過剰に心配する必要はありません。
不安があれば、自己破産を依頼する前に司法書士や弁護士へ確認し、アドバイスを受けると安心できます。
ただしクレジットカードのブラックリスト問題については、積極的に回答してもらえない事務所も少なくありません。
相談するなら自己破産や任意整理などの債務整理関係や借金問題解決実績の高い事務所を選ぶべきです。
杉山事務所は債務問題に熱心に取り組んでいて自己破産の解決事例も多数蓄積していて、借金問題の相談は何度でも無料で承っていますので、お気軽にご相談ください。
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