債務整理中に借り入れする方法と後悔する前に確認すべきリスク

「債務整理の手続き中に借り入れできる?」
「債務整理の手続き中に借り入れするリスクはあるの?」

と多くのご相談があります。原則、債務整理の手続き中はアコム、プロミス、レイク、アイフルといった消費者金融などの貸金業者から借り入れすることができません。

しかし、すべての貸金業者から借り入れできないとは限らなくて、なかには債務整理の手続き中に借り入れできる可能性がある貸金業者があります。債務整理の手続き中に借り入れできたとしてもリスクがあるので、事前に確認しておくべきです。

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1) 債務整理中に借り入れする方法

債務整理中は中小の貸金業者なら借り入れできる可能性がある

アコム、プロミス、レイク、アイフルといった消費者金融では、債務整理の手続き中に借り入れはできません。

しかし、地域密着型のような中小の貸金業者であれば債務整理の手続き中に借り入れできる可能性があります。

ただし、返済能力があるかどうかは調べられるので、ほかの貸金業者からの借り入れ金額や年収、借り入れたい金額によって借り入れできるか審査されます。

借り入れができる可能性がある貸金業者例
フクホー・セントラル・フタバ・アロー・ユニーファイナンス・中央リテール・ライフティなど

借り入れの申し込み前に確認すべき注意点

借り入れを申し込む業者が登録貸金業者情報検索サービスに登録されているか確認

借り入れを申し込む業者が貸金業者として法的に認められているか、「登録貸金業者情報検索サービス」に登録されているか確認するべきです。

貸金業者情報検索サービスに登録されていない貸金業者は、財務局に認められることなくお金を貸し付けしている闇金業者の可能性があるので借り入れするべきではありません。

闇金は法律で決められている利息の上限も守られなかったり、取り立ても法律を遵守していない場合が多くあって、債務整理をする前よりも返済に苦しむことになります。

闇金のような違法な金利での貸し付けは法律でによって、返済義務が発生しませんが、借り入れをしないことが一番です。しかし、どうしても生活が苦しい債務整理をしてもまたお金を借りる必要があるかもしれないという場合は、司法書士や弁護士にご相談のうえ、借金を減らす手続きを進めるべきです。

杉山事務所ではまず借り入れ、返済状況をおうかがいして無料でご相談を承ります。収入、支出といった状況や住宅(マンション、アパート、一戸建て、土地)を残して借金を減らしたいなどご要望をおうかがいしたうえで、相談者様にあった借金の減らし方、借金が減った後の返済がどれくらい楽になるのか、そのあとも経済的に苦しい場合の対処法までお伝えします。

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貸金業者の見分け方

借り入れを申し込む業者が債務整理していない会社か確認

原則、債務整理をした会社からは再度借り入れをすることはできません。

また、アコムやアイフルなどの大手貸金業者は、親会社・子会社などの関係があって、親会社・子会社へも債務整理をした履歴が共有される可能性が高いです。共有された情報は削除されないことから、借り入れの審査に通りにくくなります。

例えば、アコムはMUFGグループの会社なので、アコムの借り入れを債務整理した場合はほかのMUFGグループの貸金業者へ借り入れの申し込みをしても審査が通りにくくなります。

MUFGグループの貸金業者は、三菱UFJ銀行・三菱UFJニコス・ジャックス・ジャルカードなどです。

もし、債務整理の手続き中に借り入れの申し込みをする場合は、いままでに借りたことのない貸金業者で、グループ会社ではないところに借り入れの申し込みをするべきです。

借り入れ総額が年収の3分の1以下か確認

貸金業の法律には、年収3分の1までしか貸し付けをおこなってはいけない「総量規制」という法律があります。

複数の貸金業者から借り入れをしている場合、すべての貸金業者の借り入れ合計金額が年収の3分の1を超えると借り入れできなくなります。ただし、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫などからの借り入れに関しては総量規制の対象外となります。

総量規制の対象になる借り入れ総額が年収の3分の1を超えた場合は、保証人がついていても借り入れできなくなります。

2) 債務整理中に借り入れするリスク

債務整理ができなくなる

債務整理は、貸金業者と交渉して和解契約を結ぶ、裁判に申し立てをして裁判官に認めてもらうことで、債権者に支払わなければいけないお金を減らす、ゼロにする手続きです。

貸金業者と交渉して毎月の返済額を減らす任意整理、借金を最大で1/10に減らす個人再生、借金をゼロにする自己破産の手続き中に借り入れをすると貸金業者が交渉に応じてくれない、裁判官に認められなくて手続きができなくなってしまうリスクがあります。

毎月の返済額を減らす任意整理ができなくなる

任意整理は、貸金業者と将来発生する利息をカットしたり、借金の返済期間をのばす交渉をして毎月の返済額を減らす手続きです。法的な効力がない手続きなので、貸金業者は交渉に応じなければいけないわけではありません。

任意整理中に、ほかの貸金業者から借り入れしたことが貸金業者にバレてしまうと、「借りたお金で返済ができる」「こちらが利息をカットしたり返済期間を伸ばすのに借り入れ先は利息もカットされないし返済期間も伸ばされないなんて不公平だ」として利息のカット・返済期間をのばす交渉に応じてくれない可能性が高くなります。

借金を最大で90%減らす個人再生ができなくなる

個人再生をおこなうには、借金総額の何%を返済するか・毎月の返済日と返済額・返済期間などを決めて再生計画案を裁判所に提出して、再生計画案が裁判所に認められる必要があります。

個人再生の手続き中に借り入れをすると、再生計画案が裁判所に認められなくて個人再生に失敗してしまう可能性が高くなります。

借金をゼロにする自己破産ができなくなる

自己破産は、裁判所から免責が認められると借金をゼロにすることができる債務整理ですが、ギャンブルや浪費などで作った借金は免責が認められないという免責不許可自由があります。免責が認められないと借金はゼロになりません。

ただし、免責不許可自由があったとしても、生活の状況を考慮して裁判所が免責を認める裁量免責があります。自己破産の手続き中に借り入れをすると、裁量免責がされない可能性が高くなります。

司法書士・弁護士との契約を打ち切られる

債務整理の手続き中に借り入れをすることは生活を立て直す気がないとされてしまう行動です。依頼者に生活を立て直す気持ちがなければ、債務整理を進めることができないので、途中で辞任されてしまいます。

任意整理・個人再生を依頼した場合は、貸金業者と和解後あるいは、裁判所に再生計画案を認められたあと借金を返済中に、借り入れをしたことがバレて司法書士・弁護士との契約を打ち切られる可能性があります。

借り入れをしないと返済を続けられないなら、司法書士・弁護士に相談して、再和解する、再生計画を変更してもらうべきです。

返済が苦しくなる

債務整理をするときは、生活が問題なくできるように返済額や返済期間を計画することで貸金業者と和解したり、裁判で借金の減額や免責が認められます。

しかし、債務整理の手続き中に借り入れをすると、無理なく返済できるはずだった借り入れだけではなくて借り入れの返済も必要になります。もともとは無理のない返済であったはずが、無理をしないと返済ができなくなる可能性があります。

また、債務整理の手続き中は借り入れがむずかしくなるので、返済が苦しくても追加で借り入れできるとは限りません。再度、任意整理をしようとしても貸金業者が和解をしてくれない可能性が高くなります。

自己破産や個人再生は2度目の手続きができるようになるまでに一定の期間が必要になることに加えて、手続きができるとしても裁判所に借金の減額や免責が認められない可能性が高くなります。

3) 借り入れできなかったときの対処方法

生活福祉資金貸付を利用する

必要な資金を貸金業者などから借り入れることが難しい低所得者が利用できる制度です。市町村民税が非課税になる程度の年収を低所得者と考えることが多いです。

総合支援資金・福祉資金・教育支援資金・不動産担保型生活資金の4種類にわかれていて、何に対して必要な資金かで借り入れられる金額や保証人の有無が異なります。

総合支援金

生活支援費(生活再建までの間に必要な生活費用)・住宅入居費(敷金、礼金等住宅の賃貸契約を結ぶために必要な費用)・一時生活再建費(就職・転職を前提とした技能習得に要する経費、滞納している公共料金等の立て替え費用、債務整理をするために必要な経費)を借り入れことができます。

生活支援費は二人以上の世帯で月20万円以内、単身の場合は月15万円以内で借り入れができます。住宅入居費は40万円以内、一時生活再建費は60万円以内の借り入れが可能です。

どの費用も保証人がいれば無利子、保証人がいない場合は年利1.5%の低金利で借り入れが可能です。

福祉資金

福祉資金には緊急小口資金・福祉費の2種類があります。

緊急小口資金

緊急小口資金は緊急かつ一時的に生計の維持が困難となった場合に借りられる少額の費用で、保証人不要かつ無利子で10万円まで借り入れ可能です。

福祉費

福祉費には数々の項目があって、項目ごとに借りられる金額が変わります。

資金の目的 貸し付け上限額の目安
生業を営むために必要な経費 460万円
技能習得に必要な経費およびその期間中の生計を維持するために必要な経費 技能を習得する機関が
6ヵ月程度 130万円
1年程度 220万円
2年程度 400万円
3年以内 580万円
住宅の増改築、補修などおよび公営住宅の譲り受けに必要な経費 250万円
福祉用具などの購入に必要な経費 170万円
障碍者用の自動車の購入に必要な経費 250万円
中国残留邦人などにかかる国民年金の追納に必要な経費 513.6万円
負傷または疾病の療養に必要な経費およびその療養期間中の生計を維持するために必要な経費 療養期間が
1年を超えないとき 170万円
1年を超え1年6ヵ月以内であって、世帯の自立に必要なとき 230万円
介護サービス、障碍者サービスなどを受けるのに必要な経費及びその期間中の生計を維持するために必要な経費 介護サービスを受ける期間が
1年を超えないとき 170万円
1年を超え1年6ヵ月以内であって、世帯の自立に必要なとき 230万円
災害を受けたことにより臨時に必要となる経費 150万円
冠婚葬祭に必要な経費 50万円
住居の移転など、給排水設備などの設置に必要な経費 50万円
就職、技能習得などの支度に必要な経費 50万円
その他日常生活上で一時的に必要な経費 50万円

保証人がいれば無利子、保証人なしの場合は年利1.5%で借りることができます。

教育支援資金

教育支援費(高等学校、大学又は高等専門学校で学ぶために必要な経費)と就学支度費(高等学校、大学又は高等専門学校への入学に必要な経費)として借りられます。

教育支援費は、高校で月3.5万円以内、高専で月6万円以内、短大で月6万円以内、大学で月6.5万円以内まで借り入れが可能です。特に必要とされる場合は1.5倍まで借り入れられる金額の上限を引き上げることができます。

就学支度費は50万円以内まで借り入れ可能です。

どちらも学校に入る人が債務者(お金を借りて返す責任のある人)になりますが、債務者の世帯の生計を支えている人が一緒に返済をする必要があります(連帯借受人)。無利子で借り入れができます。

不動産担保型生活資金

高齢者世帯に対して住んでいる家を担保として生活資金を貸し付ける不動産担保型生活資金と、要保護の高齢者世帯に対して住んでいる家を担保として生活資金を貸し付ける要保護世帯向け不動産担保型生活資金があって、借りるには条件があります。

不動産担保型生活資金の条件

条件に当てはまれば、持ち家の土地の評価額の70%を上限として、月30万円まで借りられます。

借り入れ期間は、借りている人が亡くなる、貸し付けの上限金額に達するまでで、借り入れ期間が終了すると持ち家を売却することで返済となります。

年利3%もしくは長期プライムレート(民間金融機関が企業に対して1年以上の期限の融資をするときに最低限度となる金利)のどちらか低いほうが利息となります。連帯保証人が必要で、推定相続人から1人選ばれます。

要保護世帯向け不動産担保型生活資金の条件

条件に当てはまれば、持ち家の評価額の70%(一軒家の場合)もしくは50%(集合住宅の場合)を上限に、生活扶助費(生活保護を受けている人がもらえる金額)の1.5倍まで毎月借り入れが可能です。

借り入れ期間は、借りている人が亡くなる、貸し付けの上限金額に達するまでで、借り入れ期間が終了すると持ち家を売却して返済するか、借りている人が亡くなった場合は相続人が返済をする必要があります。

連帯保証人は不要で、年利3%もしくは長期プライムレートのどちらか低いほうが利息となります。

住居確保給付金を利用する

市区町村ごとに決められている生活保護で支払われる住宅費を上限に実際の家賃の金額を原則3ヶ月間支給してもらえる制度です。2回まで延長が可能で最大9ヶ月間の支給が可能です。

給付を受けるには条件があります。

自治体から賃貸住宅の賃貸人や不動産媒介事業者等へ直接支払われることで給付とされます。現金が手元に入るわけではありません。

一部負担金減免制度を利用する

一部負担金減免制度は国民健康保険の制度のひとつで、災害や失業などで生活が一時的に難しくなった場合に医療費を減額または免除してもらえる制度です。

生活が一時的に難しくなったという基準は市区町村ごとに異なるので、医療費の支払いが難しくなった場合は市区町村役場に相談してください。

生活保護を利用する

生活保護は、所得が低く生活が難しくなった場合に受けられる制度で、生活をする上で最低限必要だとされる費用に対して支給されます。

必要だとされる費用
日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費等)
アパート等の家賃
義務教育を受けるために必要な学用品費
医療サービスの費用
介護サービスの費用
出産費用
就労に必要な技能の修得等にかかる費用
葬祭費用 など

借り入れの返済には使えませんので、借り入れがあって生活保護を受ける場合は、原則として自己破産をする必要があります。

支給される金額は、厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費(お住いの市区町村や世帯人数で異なる)と収入を比較して、収入が最低生活費に満たない場合に、最低生活費から収入を差し引いた差額です。

生活保護が受けられるかどうかは福祉事務所が調査をおこなって決定されます。

福祉事務所の調査
生活状況等を把握するための家庭訪問などの調査
預貯金、保険、不動産などの資産調査
仕送り等の援助をしてもらえるかどうかの調査
年金等の社会保障給付、就労収入などの調査
就労ができるかどうかの調査 など

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